歯や舌や唇を含めた人間の口は、他の臓器や器官に比べて多くの役割を持っています。
まず第一の役割は食物を摂取し、かみ砕き飲み物などを飲み下す消化器官です。食物を食べるには、顎や舌などの連動が必要です。人間の口の運動は、お母さんのお腹の仲にいる胎生13週のころから唇や舌の運動が始まり、体内で羊水を飲み込むようになります。30週ころには唇で吸う運動がさらにつよくなってきます。このように母親の胎内にいるときから咀嚼や嚥下運動は始まり、赤ん坊は生まれるとすぐに口を開けて泣き、乳房にふれると吸い付き、お乳を飲み込むことができるのです。
第二の役割は発生です。
日常の会話に使われる声は、肺から出される空気が声帯を振動させることにより発生し、母音・子音の音色は舌・歯・唇・顎などによって口の「共鳴膣」の形を変化させることで、目的とする音を作り出します。
第三の役割は味覚です。
食物の味に感受する味覚器官である舌は、胎生14週ごろには体内の羊水中のブドウ糖や塩類などの刺激に対し、味を感じる感覚器官である味薔と呼ばれる感覚細胞が反応をしめすようになります。特に甘味は、新生児のころから強く感じます。
このように口は胎児の頃からいろいろな役割をもった多目的器官としての機能を持っています。